ご高齢者の転倒について

2017-11-15

前回こちらで書いた「廃用症候群」とも繋がるテーマではありますが、今回はご高齢者の方が陥りやすい転倒のリスクとその原因や対処について書いてみたいと思います。

まず前提となる認識ですが、高齢になればなるほど様々な原因(後述)で転倒してしまうリスクが増してゆきます。ご高齢者が転倒すると、その中の約10%の人が骨折を起こしてしまいます。ご高齢者は骨密度が弱くなっている分、たった1回の転倒が大ケガになってしまうことが多々あるのです。その代表的な骨折が

1)大腿骨頚部骨折
2)脊椎圧迫骨折

などです。ザックリ言えば大腿骨頚部骨折は横方向へと体が倒れた際に発生しやすく、脊椎圧迫骨折はドスンと尻もちをついて転んだ際に発生しやすいケガです。どちらも転んだ人のその後の人生を大きく変えてしまうケガになる可能性があり、こうした転倒事故を「絶対に起こさない」ようにする未然の防止策が必要となるのですね。

ご高齢者の方が転びやすくなる原因は、1つ目に体の変化(内的要因)、2つ目に住まいの中や外出する際などに障害物となるもの(外的要因)に分けられます。

まず体の変化から。これはご高齢になるにつれて様々に増えてしまう持病や筋力低下とそれに伴う体力低下が主な要因です。筋力や関節が衰えればそれだけ体は不安定になり、脚も上がらなくなり、立ったり歩いたりの際におぼつかない状況の時間が必然的に出来てしまいます。これに加えて視力が落ちて小さな段差に気が付かなかったり、姿勢が悪くなり過ぎてしまえば更に安定性が悪くなってしまうということなのですね。

もう1つの外的要因ですが、これはまず自宅内で転んでケガをするご高齢者がとても多いという認識が大事です。それも大きな段差とかではなくホットカーペットの縁の部分や小さなコードが床に伸びている箇所など、一見すると「こんなところで?」という何でもないような場所での転倒事例が多いのです。また、スリッパを履いたままで滑って転ぶことも考えられ、フローリングの床が滑りやすい際には注意が必要です。道で転ぶ要因としてはマンホールの上や塗装箇所など滑りやすい箇所、雨で濡れた階段、そしてやはり轍や小さな段差などでしょうか。こちらも同様に十分にご注意して頂きたいものです。
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ではどのようにして転倒を予防するのか

「これさえ実践していれば転倒を100%防止できる」という方法は存在しません。アクシデントはどのような状況でも起こり得るからです。しかしお1人お1人の環境の中で考えられるリスクを1つずつ潰してゆき、ご高齢者ご自身やご家族の方々にもそうした予防意識を常に持って頂くことで転倒の可能性を大幅に減らせることはできるのではないでしょうか。以下に幾つかの予防対策をご紹介します。

予防の1つ目は、まず下半身の筋力(特に大腿四頭筋や、もも裏の筋肉)強化です。といっても若い人と違い出来ることは限られます。自宅で出来る簡単なスクワット動作や脚上げ運動から、時間や道を決めた中でのウォーキング、プールでの水中ウォーキング、そして体の安定性を高めるための体操や太極拳のようなバランス運動も行なうことが出来れば尚良いですね。

予防の2つ目は、腰痛や膝痛など下半身の痛みを出来るだけ軽減させてゆくことです。腰が伸びない、思うように膝が曲がらないなどの症状を抱えたままではいけませんので、治療や生活習慣の改善等で取れる痛みを早めに取り除いてゆきましょう。

予防3つ目、視力や視野の問題は大きいですので、白内障などの眼のご持病がある方はその対策を急ぎましょう

予防4つ目、食生活では骨の栄養になるカルシウムからタンパク質、ビタミンDなどをバランスよく摂取し、出来る限り骨を内面から強くしてゆきましょう。

予防5つ目、様々なお薬の服用がある場合はそれによる副作用でフラフラしたりすることも考えらます。そうした傾向のある方は医師や薬剤師さんなどにご相談されて下さい

予防6つ目、ここからは外的要因への対処になりますが、まず自宅の中を整理整頓し、歩く動線上にコードや小さな段差がないかチェックし、変えていけるところは変えましょう。また、立ち上がる箇所に手すりをつけたり、夜間の暗い中でおトイレに行かれる際などに足元が見えるように夜間用の小さな灯りを付けておくこともご検討してみて下さい。

予防7つ目、外出の際に不安定な歩き方になってしまう方は杖の使用をお勧めします。慣れてくれば難しいものではありませんが、使い始めでは杖も含めた荷重のバランス加減が掴めないこともあろうかと思います。あまり杖に体重を預けるような使い方だとかえって危ない場合があります。また、そもそも杖のご使用に抵抗感のある方も多いかもしれませんが、杖を使うことは決して恥ずかしいことではありません。それが必要であれば臨機応変にお考え下さい。

ここまで挙げた予防策は代表的なもので、まだまだ細かい予防策は数多くあります。ご高齢の方の治療ではその都度お話やアドバイスをさせて頂きます。

院長:本多

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