ウォームアップとクールダウン

スポーツが原因で筋肉や関節を痛めた患者さんがご来院された場合、
「普段、ウォームアップやクールダウンはどのくらいなさってますか?」
というお話を伺うことがあります。もちろんきちんとやっている方もいらっしゃいますが、結構な確率の高さで「あまり真剣にはやっていないです。」というお答えをお聞きすることがあります。或いは、もう1つ多いのが「ウォームアップは十分やってます。けどクールダウンは何もしません。」というお答え。こうした運動前後のケア不足はスポーツ障害を発症させる大きな要因となってしまいます。ではなぜ、ウォームアップやクールダウンは必要なのでしょうか。

簡単に書くと、
「ウォームアップは運動に適した体を事前に作るため。
クールダウンは翌日以降に疲労を残さず、早めにダメージを回復させるため。」

となります。これらは体が持つ「熱」と密接な関係があります。車の暖機運転と同じで、一定の運動をしてゆくには体が温まった状態でなければ本来の力が発揮できません。運動が始まっても体が温まってなければ、それはすなわち筋肉や関節に運動するための充分な栄養(車で言うガソリンや潤滑油)が行き届いた状態ではない為、その分だけ故障を起こしやすくなるのですね。これがまずウォームアップが必要な理由です。

そして運動後は、逆に体の熱が高まりすぎてしまっており、それを元の状態に戻さなければなりません。体は恒常性を維持する機能が備わっているので時間が経てばその熱も元には戻るのですが、クールダウン作業によって体温の高い時間が短く済めば、体のエネルギーをその分だけ省エネできることになるのですね。さらにもう1つ、クールダウンを充分に行うと筋肉中の疲労物質を素早く取り除いてゆく効果も期待できるのです。具体的には硬くなった筋肉をほぐすための軽めのジョギング、ゆっくり伸ばすストレッチ、そして使い過ぎた箇所や痛い箇所へのアイシングを行うと良いでしょう。部活などで練習が始まる前も終わった後も皆で一緒に行う時間が取れないようであれば、個別に時間を割いてその日のうちに出来る範囲で行うべきかと思います。ケガ、故障の予防にはこうしたセルフケアの基本がとても重要になります。ぜひ足りていないと思われる方はお心掛けをお願いします。

院長:本多

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