先日、何気なくツイッターを眺めていたら、ダルビッシュ投手と女性栄養士の方が高校球児の栄養摂取についてそれぞれの論を語っており、とても興味深く読ませてもらいました。そのまま転載はしませんが要約すると、ダル選手が 「今の高校球児は圧倒的にタンパク質の摂取が足りていない。もっとタンパク質の摂取を。」 と語るのに対し、とある栄養士さんがダル選手に 「いえいえ、私の調べでは高校生で足りないのは炭水化物なんですよ。」 と反論。そのツイッター内の論戦では結論は出ず、それぞれの主張を話すに留まるのみでしたが…この話、どちらが本当なのでしょうか。

今やスポーツと 「スポーツ栄養学」 は切っても切り離せない密接な関連があります。食事をおろそかにしたままで体を大きく強くすることが出来ないのはもちろんですが、更に一歩進んでその競技に特化した体を造り上げるために 「何をどのように、どのくらい食べるか」 はとても重要な課題なのです。これは一般的な 「健康を維持するための食事」 とも若干、概念が違います。いわゆる 「頑丈な体を造り、試合に勝つための《攻めの》食事」 というものなのです。

さて、その 「タンパク質と炭水化物、どちらが足りていない?」 に戻ります。ちょっと論争自体がややザックリし過ぎている感はありましたが、どちらの持論にもそれぞれに説得力がありました。

スポーツ選手の身体作りでは、食事摂取での三大栄養素の比率(PFC比)は競技によっても多少違いますが、タンパク質15~20%、脂質20~25%、炭水化物55~60%くらいが一番良いとされるそうです。この比率でタンパク質だけを急に増やして相対的に炭水化物の摂取が低くなると、かえって体に負担を掛けざるを得なくなる…というのがその栄養士さんのご意見。多くの選手のデータを調査した上で結論を出しているとのことでした。一方で日本人が世界を相手に戦い、世界に通用するアスリートになるためには今まで通りの方法論ではいけない、というダル選手。彼も自ら実践して結果も出しているだけにその言葉は重いです。う~ん、どちら意見もそれぞれに正しく思えます。私もこれまでどちらかというとダル選手寄りの見方(タンパク質重視)でしたが、今ちょっと揺らいでいます(笑)。

タンパク質の1日摂取量は一般の人で体重1Kgあたり1g必要スポーツ選手ではその倍の体重1Kgあたり2g必要と言われています。つまり体重50Kgのスポーツ選手は1日約100gのタンパク質を摂らねばなりません。この体重1Kgあたり2gのタンパク質摂取というのは結構大変な数字ではあるので、ダル選手が言うようにかなり意識して多く摂らないと追いつかない量ではあるのですね。しかし上記したような他の栄養素とのエネルギー比率と併せて考えると、それを無視して単純にタンパク質だけをガンガン摂れば良い…というものだけでもないのかもしれません。この分野に関しては専門家でもまだまだ理論が分かれるところでもあるのでしょうね。私ももっと勉強してゆきたいと思います。一番大事なことはスポーツをする上でのその競技特性や、競技レベルに見合った食事の摂取を選手自身や選手のご家族、或いはチーム全体でそれぞれ学んで考えてゆく、ということではないでしょうか。(なので様々な方法論があって当然のこととも思えます。)

こうした栄養対策はケガや故障での療養期にも同様のことが言えます。治すための治療方法は数々ありますが、壊れた筋肉や靭帯、腱などの患部を直接修復するのは体の外から入るタンパク質、或いはタンパク質に鉄分やビタミンCも含めたコラーゲン繊維の役割です。療養期にそうした栄養を十分に摂ることはとても大切です。もしスポーツ選手の故障が時間が経ってもなかなか治らなかったりする場合、今一度食事方法を見直してみるのも一考かと思います。

院長:本多

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