健康寿命とは
以前にも書きましたが、現在日本が置かれている高齢社会の現状と健康への関わり方についてまた少し書きたいと思います。 「高齢化社会」 とは、人口の7%以上が65歳以上の国のこと、 「高齢社会」 とはその倍の14%以上が65歳以上の国のことで、日本は既に1994年に 「高齢化」 を飛び越して 「高齢社会」 となっています。昨年2013年の時点で4人に1人が高齢者となっており、並行して少子化が進み、総人口が減少する中で、高齢者の占める割合は益々増え続けるものと思われます。これは今後、我が国が直面する一番大きな社会的な問題となってゆくことは間違いないでしょう。
そんな中で、私たちのような職業に携わる者が重視しなければならないのは、 「健康寿命」 というものです。健康寿命とは平均寿命とは違い、 【日常生活において心身ともに自立した期間】 を指します。体が衰えたり、病気などに罹りがちな高齢者の方々が豊かなQOL(生活の質)を維持し、いつまでも健康的な生活が送れるようにできるようにするために何をすべきか。これを医療の分野だけでなく社会全体の問題として対策を考え続けてゆく必要がありますし、そうした健康寿命をできるだけ長く全う出来る高齢者の方が増えてゆくことが、これからの時代の成熟した国のあり方かと思うのです。
では、そのために何をすべきでしょうか。健康的で長寿な体を維持するための土台、基礎中の基礎が 「足腰の強さ」 にあると考えると、自ずと答えが見えてくるように思えます。高齢者の方がいわゆる 「要介護」 になる原因の第4位が関節疾患、5位が転倒・骨折で、これら2つを併せると1位の脳血管障害に匹敵する数字となります。関節や筋肉などの運動器に痛みがあれば和らげ、衰えたら強くする・・・といった方策はもちろんですが、これに加えてそもそも体が痛くならないようにするにはどの様にしたら良いか、或いは体が衰える前にに強さを維持するにはどうしたら良いか、といった予防対策も1人1人のケースに合わせて今まで以上に十分に考えてゆかねばなりませんね。そしてこれらの対策は、メタボリックシンドロームへの対策にも結び付き、それは要介護の原因1位の脳血管障害の予防ともなりうるのです。
高齢期になってもより良い毎日のご生活を過ごすには、健康への対策はご自身が常に 「受け身」 でなく、時に積極的な 「攻め」 の姿勢で臨まなければならないと思います。いつまでも若くて健康なお体を維持するために、お元気なうちからそうしたお心掛けをお持ち頂けるよう、意識されてみて下さい。