足関節の捻挫

スポーツによるものでも、また日常生活の中においても、受傷頻度の高いケガの1つに足関節の捻挫があります。走ったり歩いている最中につまづいてしまった場合、或いはジャンプからの着地の際などに足首が内側や外側にねじれてしまい、関節内の靭帯や腱といった組織を壊してしまうのです。その足関節捻挫の中でも一番多いのが 「内反捻挫」 といってつま先が内側方向にねじれてしまい、足関節の外側の靭帯を痛めてしまうタイプのものです。具体的に言うと、前距腓靭帯や踵腓靭帯、二分靭帯、或いは腓骨筋腱といった筋を瞬間的に伸ばして傷つけてしまうのですね。反面、足関節内側の三角靭帯と呼ばれる筋は外側に比べて強固に繋がれているため、外側ほど多い頻度では捻挫は発生しません。

捻挫の度合いにはレベルがあり、Ⅰ度は断裂を伴わない靭帯損傷、Ⅱ度は靭帯の部分断裂、Ⅲ度は重傷で靭帯の完全断裂という区分けとなっています。割合的にはⅠ度が圧倒的に多いのですが、そのⅠ度の靭帯損傷の中でも数日で治るレベルの軽度のものから数週間を要するものまであり、様々です。回復にはまず適度な安静が必要となり、包帯等で圧迫固定することが大切なのですが、初期の段階でこの状態が保てるか保てないかがその後に大きく影響を与えることがあります。もし固定がおそろかになり、患部が動揺したままの状態で過ごしてしまった場合、見込みの回復期間から大きく遅れてしまうこともあります。特に足関節や膝という下半身の関節は、体の重みをモロに受け止め支えなければならない役割もありますので、受傷後の初期にはより綿密にしっかりした安定感を作り上げることが大切なのですね。

スポーツをしている方などで包帯で固定されるのを嫌う方も中にはいらっしゃるのですが、もしも安静を保てずに治りが悪くなってしまえば元も子もありません。ケガの早期回復は初期処置をどうするかによって8割方、決まってしまいます。ぜひこの点をご理解頂き、1日も早い回復を目指してゆきましょう。