先日、中日ドラゴンズの山本昌選手が50歳にして現役引退を発表し、30年以上に及んだドラゴンズのユニフォームを脱ぐこととなりました。殆どのプロ野球選手が30代までに一線を退くこと、そしてピッチャーというポジションを考えてもその現役生活の長さは驚異的でした。プロ野球のみならずスポーツ全般として考えても、「選手寿命」という部分においてこれまでになかった1つの可能性というものを山本昌選手は身をもって示してくれたのではないかと思います。これからも野球に携わるお仕事をされるのでしょうが、まずはお疲れさまでしたと万雷の拍手で送り出して差し上げたいですね。

その話題に関連する記事で、目を引いたものがありました。山本昌選手へのインタビュー記事でした。曰く、これまでのピッチャーというポジションでの32年間のプロ野球人生で、山本昌選手は1回も肩を壊したことがないのだそうです。ただの1回も、です。

「このまま60歳まで投げてもメスを入れなくていいと思います。」
「ケガをしない投げ方はあります。」

という言葉の後に山本昌選手はこう続けています。

「大きく使う準備ですね。ピッチングフォームであったり、キャッチボールのステップであったり、そういうことは言えます。大きく使う。もっと言うと詰まらさないこと。ストレスのない(肩の)回し方、ストレスのない角度、ストレスのないリリース、そういうものが合わさって、肩を壊さない投げ方になる。投げれば(肩や肘に)ストレスはかかりますよね。これをどうストレスなく、少なく投げていくかということだと思いますけどね。」

スポーツ上の正しいフォームに関する理論…特に投球動作についてはあらゆる観点からそのメカニズムが研究され尽くしています。こうして文字にして読むとごく当たり前のことを山本昌選手は述べているに過ぎないかもしれませんが、自らその肉体で実践してきた当事者の言葉は何よりも重みがあり、傾聴すべき点が宝の山のようにあるものと思います。ぜひその山本昌流の実践理論をこれからのスポーツ医学のために、そして故障に悩む高校球児や将来長く現役を続けたい選手のために更に詳細に伝えてくれる機会を持って欲しいなぁと熱望しています。

ちなみに「僕はアイシングしたこともありません。」という氏の言葉もちょっと驚きでした。現在、治療やスポーツの現場で当たり前のように行われていることでも「100%この方法しかない」という絶対の先入観を持つのではなく、常に別の視点、別の可能性を模索することも大切なのかもしれませんね。セルフケアの方法は千差万別ですから。いろいろ考えさせられたインタビュー記事でした。

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