肩関節周囲炎

四十肩、五十肩という症状があります。ご経験された方も多いのではないでしょうか。これらの呼び名は俗称で、正式名称は 「肩関節周囲炎」といいます。主に肩を構成する筋肉の付け根部分(腱部、あるいは腱板部)に衰えなどの器質的な変化が始まり、それが発端となって強い炎症を起こし、周囲の筋肉が凍ったように硬くなって肩が動かなくなるのが特徴です。そうした極端に可動域が狭まった状態が続くと、日常的な些細な動作でも捻挫のような状態を起こしやすくなったりと、二次的な痛みが発症して更に症状が長引いてしまうこともあります。

五十肩を発症する根本の原因は、未だ医学的に解明されていない部分もあります。しかし何故、他の関節には出ないのに肩にだけこんな症状が起こってしまうのか。これは肩が元々 「衰えやすい関節だから」 という結論に辿り着きます。肩の関節は他の関節に比べて可動範囲が圧倒的に広く、その分いろんな方向から筋肉が集まってきています。それら1つ1つの筋肉はある程度大きく動かす機会を持たないといずれ弱くなったり硬くなる原因になりますが、肩の場合は可動範囲の大きさゆえに隅々までそうした形で程よく動かせる機会が足りず、それが加齢による体質変化と重なって関節を硬くしてしまう一因になるのですね。

症状を改善する場合は治療と共に 「衰えやすい」 肩関節の体質を変えてゆくための体操療法や運動療法が必要になってゆきます。特に肩関節の二層構造になっている内面側の筋肉(インナーマッスル)を再び強くするには継続的な地道な鍛え方をしなければなりません。一度発症すると治るまでに時間が掛かることもありますが、根気強く取り組んでゆくことが大切です。お辛い思いをされている方は早めのご療養をお心掛け下さい。